Rockon Social Club LIVE Blu-ray & DVD

2023年5月6日(土)に東京ガーデンシアターで行われた
Rockon Social Club初のワンマンライブの
LIVE Blu-ray & DVD「ROCKON SOCIAL CLUB 1988」が
2023年9月15日に発売されます!

記念すべき初ワンマンライブの模様を完全収録。

特典として、カバーアルバム「2023」のCDが封入されます。

「ROCKON SOCIAL CLUB 1988」(Blu-ray + CD)

  • 品番:TYOR-3001
  • ¥9,000(税込)

 

「ROCKON SOCIAL CLUB 1988」(DVD + CD)

  • 品番:TYOR-3002
  • ¥8,000(税込)

TRACK LIST

LIVE Blu-ray & DVD "1988"

  1. Foxy Lady
  2. Rolling Thunder Baby
  3. BACK IN THE CITY
  4. 無題
  5. 目で見ちゃだめさ
  6. ANGEL
  7. Love Again
  8. 自分勝手
  9. ヨッテタカッテ
  10. Te querrá mucho
  11. PARTY
  12. パズル
  13. ただいま
  14. 翼をもがれた野郎ども
  15. 遥か未来の君へ

COVER ALBUM "2023"

  1. ANGEL
  2. BACK IN THE CITY
  3. PARTY
  4. THE FRONT
  5. 無題
  6. 目で見ちゃだめさ
  7. 自分勝手
  8. LOVE BLUE

Review of "ROCKON SOCIAL CLUB 1988"

Rockon Social Club初となる映像作品『ROCKON SOCIAL CLUB 1988』が9月15日にリリースされた。

2023年5月6日に有明・東京ガーデンシアターにて華々しく行われた、
記念すべき初めての単独公演の模様をBlu-ray & DVDにパッケージ化 !

あの日の興奮とほとばしる熱気、彼らの軌跡の第一歩がここに閉じ込められている。

特典CDのカバーアルバム『2023』と併せて、何度でも堪能してほしい作品だ。 

LIVE Blu-ray & DVD『ROCKON SOCIAL CLUB 1988』が届いた。ケースを開くと、左側に“1988”右側に“2023”と書かれたDISCが入っていた。そこにあるのは35年間なのか、それとも空白という名の時空を超えた過去と現在なのか。

 

2022年年末『Rockon Social Club Secret Party』と銘打った(途中からはすっかりシークレットでも何でもなくなったが・笑)東京レコード主催のツアーが発表され、“Rockon Social Club”というものが単なるツアータイトルなのか、何か会員制による集合体のようなものなのか、バンド名なのか何なのか…そんなそもそもがよく分かっていなかったところからスタートしたはずが、年が明け、知らない間にレコーディングが行われ、気付けば3月1日にはアルバム『1988』がリリースされていた。

さらに、当初男闘呼組のツアーで予定していた5月6日東京ガーデンシアターが、Rockon Social Clubの1st.ワンマンに !“気づけば”のオンパレードで、まったく油断も隙もないバンドだ。
でも、なぜ急にこの日に? まさか令和5年5月6日!? そう、アルバムリリースに先駆けて先行配信された「遥か未来の君へ」のタイアップが、呉工業「KURE 5-56」。そしてこの日のライヴは「KURE 5-56PRESENTS」! むしろよくこんなうまいタイミングで開催に至れたことに感心さえしてしまう。と、そこで気になるのはSecret Partyではメインとはいえイベント、今回はフルサイズのワンマンだ。

この時点での持ち曲は10曲、さぁ、それ以外は何を演奏する?すでに、男闘呼組のカバーをレコーディングしたという話がメンバーの口から出ていたため、おそらく誰もが期待をする中、カバーやります !のアナウンスが。持ち時間だけでなく、キャパもイベントでは着席で最大約1200人だったが、ガーデンシアターは8000人。これは楽しみだ。

 

 

まずは、映像作品『1988』から紹介していこう。客電が落ち拍手が沸く中「We are Rocko~n !」という声と共に、アルバム1曲目に収録されている「Rockon Social Club」が、その重厚さに派手なライティングを携えて会場に鳴り出した。

まるで格闘技の入場曲のように客席のボルテージを煽り、おそらくメンバーたちにとってもギアが入るオープニングなのではないだろうか。1曲目「Foxy Lady」が始まりまず驚いたことは、音の分厚さ。そりゃそうだ、ステージの上で演奏しているのはギター3人・ベース1人・キーボード2人・ドラム1人・ホーンセクション4人、計11人だ。

中でもホーンがとても効果的に使われていて、よりゴージャス感や破天荒さを感じられるのは「Rolling Thunder Baby」。そのギラギラ感に思わず客席も拳を振り上げる。青山英樹(Dr)は立ち上がって腕を突き上げ、岡本健一(Gt&Vo)と成田昭次(Gt&Vo)は煽るように前へ左右へ。初っ端から全開で飛ばしてゆく。

 

 

そして高橋和也(Ba&Vo)の「ちょっと新しいやつやってみようか」の一言で披露されたのが、男闘呼組の「BACK IN THE CITY」。冒頭歌い始めたのは岡本。なるほど、だから高橋は岡本の方を向いて言ったのか。単なるカバーではなく、ヴォーカルのパートチェンジという意表を突いたなかなか類を見ない試みだ。

オリジナルでは高橋が歌うAメロを岡本・成田でまわし、Bメロの高橋、成田のハモリを成田、岡本が歌う。かと思えば、二番はまたオリジナル通りに戻ったりまた一部だけ変わったり…この歌割り、難しくないか?規則性がないからうっかり歌い落としてしまいそうで、観ている側なのに心配になってみたりする。となると、他の曲もそうなのだろうか?この日演奏された男闘呼組のカバーは、他に「無題」「目で見ちゃだめさ」「ANGEL」「自分勝手」「PARTY」の全6曲。「無題」と「PARTY」以外は「BACK IN THE CITY」同様に部分的なヴォーカルチェンジがある。

ライヴでのお楽しみとして数曲楽器のパートチェンジをしたバンドを観たことはあるが、歌割りを変えるというのは誰もがヴォーカルをとれる、という大前提があるからこそナチュラルに生まれる発想であり、成せる彼らの強みであることに他ならない。

 

 

中でも客席を沸かせたのは「無題」。岡本の世界観たっぷりのナンバーで、彼のソロバンド・ADDICT OF THE TRIP MINDSでは現在も演奏されているが、再始動以降の男闘呼組ライヴでは演奏されていなかった。

次は何がくるのか、神経を集中させた耳に届いたのは独特なギターの調べ。歌うというよりは叫びにも似たそのパフォーマンスに熱い視線が注がれる。そんな会場の熱を優しさとその中にある激しさで包み込むような、前田耕陽(key&Vo)のピアノソロを経ての「ANGEL」。パイプオルガンの音色で作られたメロディが流れると、会場からはどよめきのような歓声が !

2022年12月26・27日、東京ガーデンシアター公演の第一章にてすでに披露はされていたが、初のメンバー作詞・作曲としてシングルリリースされたこの曲の人気は高い。切なさと絶望とだからこそ心のどこかで叫ぶ祈り。印象的だったのは、ステージに落とされた花を形取ったライト。“君”の居る場所はきっとお花畑のような安らぎの場所であってほしい。成田の左腕に住む天使を見ながらそんなことを思った。

 

 

そして、このバンドならではの面白さが出ていたのがメンバー紹介。「めっちゃヒョウ柄です !」「めっちゃ透けてるー !」「わぁお !腕出し!?」要は高橋の愛ある衣装イジリなのだが(笑)、やっぱりこういう表現をするところは凄いなと感じてしまう。

頭の先からつま先まで微妙に違うヒョウ柄を全身に纏った前田に、言われてみたら確かに目のやり場に困るほど前面スケスケ&背中もパックリ開いてるセクシーな岡本、指摘されて恥ずかしそうに腕を隠すジェスチャーをする成田は、人差し指と小指で作る“ロックオンサイン”の立てる指を目で確認しながら「ロックオーン !」(笑)。

そしてそんな成田に「パープルレッドなオンベース !」と紹介された高橋が発したのは「新宿の匂いがするか!?」。…えっと、みんな思ってるけど言わなかったんですけどね(笑)。NHK『SONGS』の上半期総集編にて、大泉洋が「高橋さんは役者の時と男闘呼組の時では目つきが違う」とその治安の悪さをネタにしていたが(笑)、だったらこれを観たらどうなってしまうのかと想像すると少しワクワクした。

一連のその流れを、高橋がひとつ口にする度に背後で楽しそうに笑っていた青山の「後ろからドコドコ行くゾー !」という元気いっぱいの声、前で手を組み「歴史的な瞬間」と喜びと感謝を伝えるプロデューサ寺岡呼人(Gt&Ba)はどこか保護者のような落ち着き。そんなそれぞれのカラーも、やはりこのバンドの欠かせない魅力のひとつだ。

 

 

後半、観客とのセッションを楽しみこの日の見せ場にもなったのは、現代の様々な風潮に中指を立てる「ヨッテタカッテ」。ショルダーキーボードを下げた前田が前方でメンバーと一列に並ぶと、屈んで小さくなったり大きくなったり悩ましく腰を振ったりジャンプをしたり。

一緒に合わせる客席以外にも、ステージ後方で頭を伏せながらドラムを叩く青山や、キーボードの足元で小さくなっているサポートメンバーのデビン木下(key)、頭を振るちっぴーホーンズの姿も。会場全体で笑顔を共有できた時間となったに違いない。

それに続くのは、ベースを置き上着を脱いですっかり動ける準備万端の高橋が「セニョリータになってくれるかい?」と、ラテンサウンドの求めるままに歌って踊る「Te querra_́mucho」。正直、この人の多才さには何から何まで圧巻である。この曲をここまで表現できる人はいないように思う。何を感じるかは自分の目と耳で確認した方がいい。

 

 

そして、アンコールで登場したのは色違いのエプロンを首から下げた5人の男達。かいがいしく他のメンバーのエプロンを直してあげている岡本が、素肌に着用しているようにしか見えなくて困ってしまうのはきっと私だけではないはず(しかもピンクだし・笑)。

「ただいま」という曲が作られることになった秘話とともに「このダメダメな男達を、今夜はみんなが優しく抱きしめて“おかえり”って言ってください」と寺岡が告げると、前田の歌い出しでアカペラの素敵なハーモニーを披露。気持ちを確かめ合うような“ただいま”“おかえり”のやりとりが、待ち続けた人たちの涙と笑顔を誘う。

途中からずっと片手を胸に当てながら歌い、最後に一人「ありがとう」と言った成田の重ね合わす想いに、ハートをキュッと掴まれた人は多いのではないだろうか。ラストは「遥か未来の君へ」。世界の悲しい情勢に、平和な日本から願いを込め会場が一体となって声を響かせ、初の単独ライヴは幕を閉じた。

 


途中、MCで高橋がこう言っていた。「いつまで音楽を続けられるかわからないけど、みんなが元気な限り、ファンのみんなが居てくれる限り、歌い続けるよ!」50代の新人バンドならではの切実であり正直な想いが感じ取れて、何だか少し切なくなると同時に少しでも長い“限り”を願わずにいられない。そんな『1988』だった。

この作品には、特典CDとして男闘呼組のカバーアルバム『2023』が付属している。ガーデンシアターで演奏されたカバー6曲に「THE FRONT」「LOVE BLUE」の2曲を加えた全8曲を収録。なんとも贅沢な仕様だ。しかも、ライヴではオリジナル通りだった「無題」「PARTY」も更なる変化を遂げている。

今回このCDで一番注目したいのは、ソロがスイッチヴォーカルに変わった3曲「無題」「THE FRONT」「LOVE BLUE」だろう。曲が同じでも歌う人が変わればカラーは変わる。一人の世界観を壊して作り上げた新しいその世界はどんな景色なのか。もちろんそこには声と演奏という、年月を経たからこそ表現できるものと自然と滲み出るものもあるはず。

他にも、男闘呼組ではソロ曲以外で機会はなかった前田がメインを歌っていることや、ホーンセクションが入っていることなど、違いを楽しむ要素はいろいろ。ぜひ聴き比べて、それぞれの良さを感じ、それぞれの時代に思いを馳せてみてほしい。

 

 

今回、映像の中で各メンバーが「今日から新たな旅が始まる」といったニュアンスのことを何度となく口にしていたが、あれから一つの旅を終え男闘呼組が解散したこれからこそが、Rockon Social Clubというバンドにとっての始まりなのではないだろうか。

そして続く未来を考えたとき、男闘呼組とRockon Social Clubが同時に存在したわずかな期間の中で、とても貴重な瞬間を形に残すことができたこの『ROCKON SOCIAL CLUB 1988』は、応援する人たちにとっても本人たちにとっても大事な作品になったはずだ。

“1988”と“2023”それは過去が現在に出会うことで生まれた結晶のようなものに違いない。

 

Textby.K子。